未道録

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第20話|静けさを求める心が、やっと本音を語り始めた

ここ最近、私はずっと「気を使う場所」に挟まれていた。職場では他人の機嫌や空気に緊張し、家に帰れば家族の声や動きにまで気を張ってしまう。誰かが悪いわけじゃない。でも、私の神経は休まる場所を失っていた。そしてある日、ようやく気づいた。「静かなと...
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第19話|同じ出来事が、前ほど痛くならなかった朝

朝の通勤中、信号で車を止めていた。低い朝日が信号機に重なり、青に変わったのが見えなかった。その直後、後ろからトラックのホーンが鳴った。考えるより先に、私は反射的に車を発進させていた。身体は先に動いた。でも、心はほとんどざわつかなかった。少し...
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第18話|思考から一歩、離れられた朝

朝、目が覚めたとき、身体に力が入り続けていたことに気づいた。一晩中、身体が休めていなかったらしい。ただ、それに気づけたこと自体が、以前とは違っていた。考えごとは相変わらず浮かぶ。やるべきこと、やらない方がいいこと、後回しにしたいこと。思考は...
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第17話|境界線を知らずに、生きてきた

境界線という言葉を、私は最近まで、ちゃんと知らなかった。だから今思えば、境界を侵してもきたし、散々、侵されてもきたのだと思う。断らずに引き受けることが優しさだと思っていた。相手の都合に合わせることが、大人だと思っていた。自分の違和感を後回し...
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第16話|揺れた一日を、失敗にしなかった

今日は、完全ではなかった。同僚の行動に少し振り回されて、正直、疲れた場面もあった。以前の私なら、その一点だけを切り取って、「やっぱり自分はダメだ」と一日を否定していたと思う。でも今日は、違った。確かに揺れた。距離を取れなかった瞬間もあった。...
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第15話|休むことを選んだ日

疲れを感じたあと、私は少し戸惑っていた。休みたい。でも、休んでいいのか。そんな問いが、静かに浮かんでいた。これまでの私は、疲れても動くのが当たり前だった。止まる理由を探し、自分を納得させ、結局はまた動いていた。休むことは、怠けること。逃げる...
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第14話|沈黙のあとに戻ってきたのは、疲れだった

感じることを取り戻した身体が教えてくれたこと沈黙を選べるようになったあの日のあと、私の中で最初に戻ってきたのは、意外にも「疲れ」だった。胸の奥に沈んでいた倦怠感が、ゆっくりと浮かび上がってくるようだった。今までの私は、疲れを感じた時点で動く...
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第13話|沈黙は逃げではなかった

誰のためでもない時間を、初めて自分に使った日苛立ちを感じられるようになった私は、何かを始めたわけではなかった。むしろ、止まった。返事を急がない日が増えた。考えているふりをすることもやめた。説明しないことに、罪悪感が少しずつ薄れていった。私は...
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第12話|戻ってきたのは、大きな感情ではなく小さな苛立ちだった

怒りの残り火が、私の感情を温め始めている。本当の感情は、劇的に戻ってくるわけではない。私の中で最初に動いたのは、涙でも笑顔でもなく、小さな苛立ち。それは誰かを責めるためのものでも、爆発するような怒りでもない。ただ、「なんで私ばっかり」「どう...
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第11話|“役割としての私”の先に、本当の私がいた

望まない人生の外側に、やっと輪郭が現れた望まない役割を生きてきた私は、いつしか「やりたいこと」がわからなくなっていた。何を望むかではなく、何を求められているかで動いてきたからだ。気づけば、「好き」と「正しい」は同じものだと思っていた。誰かが...