第18話|思考から一歩、離れられた朝

朝、目が覚めたとき、
身体に力が入り続けていたことに気づいた。
一晩中、身体が休めていなかったらしい。
ただ、それに気づけたこと自体が、以前とは違っていた。

考えごとは相変わらず浮かぶ。
やるべきこと、やらない方がいいこと、
後回しにしたいこと。
思考は忙しなく、次々に主張してくる。

でも今日は、
その思考に全部従わなくていいと分かった。

「やりたくない」と感じるなら、
できるだけやらない。
それは投げ出すことでも、
怠けることでもない。
身体が出しているサインに、
一度、席を譲るという選択だった。

しばらくすると、
肩のあたりが少し緩んだ。
力を抜こうとしたわけではない。
判断を急がなかっただけで、
身体の方が先にほどけていった。

そのとき思った。
強さとは、押し切ることじゃない。
思考との間に、ほんの少し距離を取れることだ。

考えていることすべてが、
今すぐ実行する命令でなくていい。
浮かんだ思考は、
眺めてから決めてもいい。

今日は、
思考と身体のあいだに、
細い境界線が引けた気がする。

思考に従わない時間が、
身体を守る時間になる。

今日は、それで十分だった。