第15話|休むことを選んだ日

疲れを感じたあと、私は少し戸惑っていた。

休みたい。
でも、休んでいいのか。
そんな問いが、静かに浮かんでいた。

これまでの私は、
疲れても動くのが当たり前だった。
止まる理由を探し、
自分を納得させ、
結局はまた動いていた。

休むことは、
怠けること。
逃げること。
置いていかれること。

そんな意味を、
無意識のうちに背負わせていたのだと思う。

でもその日、私は違う選択をした。

「今日は、休む」

誰かに許可を取るでもなく、
言い訳を用意するでもなく、
ただ、そう決めた。

休んでみると、
何かが劇的に良くなるわけではなかった。
問題が消えるわけでも、
不安がなくなるわけでもない。

それでも、ひとつだけ違った。

自分を追い立てる声が、
少しだけ静かになっていた。

休むという行為は、
前に進むための準備ではなく、
自分のいる場所に戻るための行為だったのかもしれない。

私は止まったのではない。
立ち返っただけだった。

疲れを感じ、
休みたいと思い、
休むと決めた。

その一連の流れを、
誰にも邪魔されずに選べたことが、
何よりも大きな変化だった。

この日、私は初めて、
自分の時間を
自分のものとして扱えた気がする。

休むことを選べた日は、
私が私に戻ることを許した日だった。