第20話|静けさを求める心が、やっと本音を語り始めた

ここ最近、私はずっと「気を使う場所」に挟まれていた。


職場では他人の機嫌や空気に緊張し、家に帰れば家族の声や動きにまで気を張ってしまう。

誰かが悪いわけじゃない。
でも、私の神経は休まる場所を失っていた。

そしてある日、ようやく気づいた。

「静かなところで、ひとりで過ごしたい」という願いが、心の底から湧いてきた。

それは逃げでも弱さでもない。
ただ、ずっと押し殺してきた私の本音だった。

気を使うことに疲れ果てたのは、
気が弱いからじゃない。


長いあいだ、自分の感情より他人を優先する人生を続けてきただけだ。

家族が好きでも、
一緒にいて安心できるとは限らない。
愛情と「疲れ」は、別の場所で生まれる。

職場でも家でも気を使い続けて、
身体はずっと緊張を解けなかった。
だから私は、少し距離を取った。
その瞬間、ふっと肩の力が抜けた。

たったそれだけで、
私はどれほど我慢していたのかを思い知った。

静かな時間が欲しい。
ひとりで呼吸したい。
心が落ち着く場所が欲しい。

その願いは、
間違いでも、わがままでもない。

むしろ、
壊れる前に自分を守ろうとする、
最後の力だった。

私は今、
誰かのためにではなく、
自分のために距離を選べるようになりつつある。

それはきっと、
弱さではなく、
私の回復の一部なのだ。

静けさを求めたあの日、
私は初めて、自分の限界を理解した。

そして同時に、
自分を守るという選択を覚え始めた。

まだ道の途中。
でも、その一歩は確かだった。