第21話|何もしていない自分を、見られるのが怖かった

じっとしているところを人に見られると、
身体がビクッとする。
理由もなく、不安が湧いてくる。

何か悪いことをしている気がする。
怠けているように見えていないか。
そんな思考が、一瞬で頭をよぎる。

でも、立ち止まって考えてみた。

私は何も規則を破っていない。
仕事を放棄しているわけでもない。
誰かに迷惑をかけているわけでもない。

それなのに、身体だけが反応している。

この反応は、今の現実から生まれたものじゃない。
過去のどこかで、
「何もしていない=責められる」
という学習をした名残なのだと思う。

きっと昔の私は、
役に立っていないと感じる瞬間が、
とても怖かったのだ。

だから、
止まることより、
動き続けることを選んできた。

でも今は違う。

ここで私は、
ひとつの事実を確認する。

「今の私は、何も悪くない」

そう知ることは、
自分を甘やかすことではない。
現実を正しく見ることだ。

止まっている自分を見られても、
問題は起きていない。
それが、今の事実だ。

身体はまだ慣れていない。
だからビクッとする。
それだけのこと。

私は今日、
止まっている自分を、
少しだけ許すことができた。

止まることは、危険ではなかった。
それを知れただけで、
この日は十分だった。