第27話|不安を感じ続けなくてもよかった

通勤中、理由のはっきりしない不安が出てきた。
何かが起きたわけじゃない。
ただ、胸の奥がざわついていた。

以前の私は、
この不安をそのまま感じ続けようとしていた。
逃げずに、避けずに、
ただ向き合わなければいけないと思っていた。

でも正直に言えば、
それはとても辛かった。

感じ続けるほど、
不安は薄れるどころか、
身体に張りついていくようだった。

今日、ふと思った。

感じ続けなくてもいいのではないか。
無理に耐えなくてもいいのではないか。

不安があることに気づくだけで、
十分なのではないか。

そう思えた瞬間、
少しだけ肩の力が抜けた。

不安は消えなかった。
でも、
不安の中に沈まなくてもいいと
初めて許せた。

逃げたいと思う気持ちは、
弱さではなかった。
身体が限界を教えてくれていただけだった。

今の私は、
不安を克服しようとしているわけではない。
ただ、
自分をすり減らさない距離を
探しているだけだ。

その距離感に気づけたことが、
今日は何より大きかった。

不安を感じ切らなくても、
私はここに在る。
それで、もう十分だ。