スーパーで買い物をしていた。
目の前で人が立ち止まった。
その瞬間、
身体が先に動いた。
反射的に避けて、横を通った。
止まることもできたはずなのに、
考える前に、身体だけが進んでいた。
通り過ぎたあと、
胸の奥に小さなイラつきが残った。
なんで、あんなに急いだんだろう。
なんで、立ち止まれなかったんだろう。
一瞬、
「選択できなかったな」
そんな言葉が浮かんだ。
でも、少し時間が経ってから、
別の見方ができた。
あれは失敗じゃない。
ただ、反射だった。
混雑。
進路を塞がれる感覚。
予測できない動き。
身体が、
安全のために先に反応しただけだ。
大事なのは、
そのあとだった。
イラついた自分に気づいた。
反射だったと分かった。
飲み込まれずに、
こうして言葉にできている。
以前なら、
イラつきの理由も分からないまま、
気分だけが重くなっていたと思う。
今日は違う。
反射して、
あとから気づいた。
それだけのことなのに、
それが少し嬉しかった。
止まれなかった日も、
気づけたなら十分だ。
それは、もう選択の途中にいる。
